最初は強いショットの習得が大事
ショットの強弱を意識し出したら、まずは強い方の力加減、つまりハードショットを習得することを強く勧めます。ここでは、ハードショットの習得に関して、なぜ弱い力加減よりも強い方が先に覚えるべきなのか、どうやってハードショットを撞けばよいのか、などの情報を紹介しています。
まずはハードショットから!!の理由
ショットの強弱の力加減のまずどちらを習得すべきかと問われたら、強い力加減を先に習得すべきだと思います。
ハードショットを習得するべき理由のうち、重要なものをいくつか挙げると
- ストロークの安定性の向上
- 力加減の上限の拡大
- 正しい厚みの習得と自信づくり
- ちびりの軽減
- イレイチの基準づくり
- 撞点のシビアさの体感
などです。
ハードショットではストロークがブレやすいので、ハードショットで安定したストロークができるようになれば、全体的なストロークの安定性の向上が見込めます。また、速いスピードでキュー、手球、的球が動くので撞点もシビアになり、ポケットからも弾かれやすいので、しっかり撞点や厚みを狙う癖付けができます。速い球ではスロウなどの影響を受けにくく、シュートの成功失敗に厚みが支配的な要因になるので、正しい厚みを自然と身につけることができます。
「え、でも弱く撞いた方が的球が入りやすいような気がするんだけど。。」という方もいると思います。実際、まだフォームやストロークがそこまで安定していない方や、厚みに自信が持てていない方などは弱く撞いた方が入りやすいかと思います。というのも、弱く撞いた方がストロークが暴れにくかったり、的球がゆっくりポケットに向かうのでポケットが拾ってくれやすかったりして、誤魔化しが効きやすいからです。
しかし、そのような撞き方を最初に覚えてしまうと、全体的におっかなびっくりの球を撞くことが癖になり、ハードショットをしたり、厳しい撞点を撞いたりすることが難しくなります。また、スピードの低い球はスロウやカーブ、ヨレの影響を受けやすく、ミスした際になぜミスしたのかがわかりにくくなります。それにより、正しい厚みや見越しを覚える障害になることが多く、いつまでも厚みや見越しに自信がつかない原因になります。
以上の理由から、弱いショットよりも先に強いショット、ハードショットを習得することを強くお勧めするのです。
ハードショットはどのくらいの強さなのか
どのくらいの強さで撞けばハードショットになるのか、というところが気になると思いますが、正直明確な基準はありません。
ただ、重要なのは、プレイで必要なショットスピードを網羅できるくらいのショットは練習で身につけて置く、ということです。
こういう表現だと少しあいまいなので、一応、基準作りのための例を2つほど挙げてみたいと思います。下の2例くらいならだれが見てもまぁまぁのハードショットになると思います(とは言っても、これは筆者の勝手な考えでもあるので、参考程度で考えてくださいね。)。

バンキングと同じように撞いて、台を1往復半以上させるというものです。撞点は真ん中です。撞点の精度向上やコジり解消の練習にもなります。

上の絵のように置いて、逆側の長クッションまでダすというものです。手球と的球はどちらも長クッションから球2個分、短クッションから2ポイントの位置です。撞点は真ん中かちょっと下です。的球に薄めに当たると手球は走りやすいので、厚めに入れるとなお練習になります。
ハードショットの習得のコツ
普通の力加減のショットなら入る球でもハードショットになると入らなくなる、というのは最初はだれでもあたる壁の一つです。強いショットをするときに最初はなんとか力を込めてショットしようとするあまり、力んでガチガチになりショットも全然ダメ、でも力を入れないと強く撞けないというのがよくある悩みです。ここでは、ハードショットを習得するにあたって、助けとなるようなコツやヒントを紹介していきます。
キュースピードが命
ハードショットを撞くために必要なことは実は1つだけです。それはズバリ、高いキュースピードです。つまり、どれだけ速くキューを振って、キューが速い状態でインパクトを迎えられるかが重要になります。ここで重要なのは、必要なのは力ではないよいうことです。キューが速ければ良いので、力はあまり関係ありません。グリップアームの力を軽くして、肘を支点にした振り子のようにして、キューの重さを最大限に活かして振っていけば、自然とスピードが上がっていきます。むしろ、力まずに振れる最高速が現時点での自分の最大のキュースピードだと思った方が良いと思います。後は練習してその最大速度を上げていくという修練になります。
変に力まないこと
ハードショットを撞くにはキュースピードを上げる必要があるわけですが、キューを速く振るにあたって力みは敵です。変にグリップや腕に余計な力が入っていると、多くの場合キューは速く振れません。したがって、ハードショットは力を込めて撞くわけではないよということです。
必要なギリギリの力を体に込める
力みは禁物だという話をしましたが、これは脱力するという話とは少し意味合いが異なっていると思っています。キュースピードを上げると体はどうしてもキューに振り回されて動きがちになります。そのため、フォームが崩れないように、体には少し力を込めて安定性を高めるべきでしょう。特に、頭やブリッジアームは動きやすいので、動かないように注意を払います。フォームの安定性が保たれるようにしっかり体に力を込めつつも、力みがでないような、必要最低限の力を込めるようにしましょう。
テイクバックは十分に撞点は正確に
キューの重みを使った振り子運動で速度を出すので、どうしてもテイクバックはある程度大きくなります。ただしここで気を付けたいのは、闇雲に大きく引けば良いというわけではないということです。テイクバックを大きく取れば取るほど、撞点を正確に捉えるのが難しくなります。キュースピードが大きいと僅かな撞点のズレでも手球の挙動に大きな影響が出てしまいます。よって、撞点が正確に捉えられるギリギリのところまで最大限にテイクバックをとるようにすると良いと思います。目安となるのはキューレベルのブレです。テイクバックが大きくなりすぎてキューレベルがバタついてくると、キューコントロールが複雑になり、撞点のズレに繋がります。従って、キューレベルが維持できるギリギリのところがテイクバックの限界点の1つの目安になります。
インパクトとキューレベルは注意する
ハードショットではキュースピードが大きい分、インパクトの瞬間を予測するのが難しくなります。そのため、慣れていないと自分の思っているインパクトタイミングとキュースピードの最高速がずれてしまうことがあります。特に、インパクトが予想より遅くなってしまい、最高速の後でインパクトを迎えてしまうと、ストロークの割りにショットスピードがでないということになってしまいます。そのため、ハードショットのときにはグリップが肘下に来る最高速のポイントをしっかりインパクトに一致するように、アドレスでいつも以上に気を付けてフォーム移行するように心がけることが重要です。またショットイメージにおいても、キュースピードのトップスピードのタイミングをタップが手球に当たる瞬間ではなく、手球の裏側にくるようにイメージすると、キューを減速させることなくハードショットができるようになると思います。
また、ハードショットではキュースピードが大きい分、手球の挙動にキューレベルの影響が大きく出ます。キューレベルのつき方次第では、撞点が正確に捉えられていても望んだ挙動と違ったショットになってしまいます。そのため、いつも以上にキューレベルに注意を払うことが重要になります。
ハードショットのグリップ
グリップもハードショットだからといって力を込める必要はありません。通常の卵を握りつぶさないくらいの握力で大丈夫です。むしろ、キューを振る際に握りこんでしまうと、キュースピードも出にくく、キューレベルも不安定になります。ただしこれは、インパクトまでの話です。
ハードショットのインパクト時は、キューにも手球から大きな反発力が加わります。そのためキューはかなり強く押し返されるので、インパクトの瞬間にはしっかりと相応の力をグリップに与える必要があります。インパクトの瞬間か少し後くらいに少し握るような感覚が良いと思います。この握る感覚がそれなりにシビアで、このタイミングと握力のかけ方を反復練習によって掴むことが重要になってきます。
インパクトの瞬間も完全にグリップを脱力するようなスリップグリップもあるにはあるのですが、感覚的に非常に高度な鍛錬が必要になるので、最初に取り組むのはオススメしません。
手首のスナップはオススメしない
手首をスナップさせることでキュースピードを上げるというものもありますが、習得している人も長い長い繰り返しの練習の中で自然と身についていることが多く、感覚的な上にタイミングが非常にシビアで精度も非常に高いものが要求されるとても高度な技術になります。そのため、意識的にスナップを効かせるようなハードショットの方法はオススメしません(ただし、無意識のうちに使われている場合、特に否定するものでもないので、無意識下のスナップ以外はオススメしないといった意味です。)。
フォロースルーは気にしすぎない
ハードショットにおいて、フォロースルーの長さは度々議論の種になります。「ハードショットの際は出来るだけフォロースルーを長くすべき」「ハードショットの際はフォロースルーを短くコンパクトにキレ良く抑える」本当にいろいろあります。これらの意見があることを踏まえた上で、私は「フォロースルーについて色々考えすぎて、キュースピードや撞点に影響が出ることがないようなフォロースルー」が良いと思っています。フォロースルーをできるだけ長くしよう、とか、短く抑えよう、とかあまりにも意識してしまうと大抵の場合は力みやフォームの崩れに繋がります。本末転倒です。ハードショットにおいて重要なのは、インパクト時のキュースピードおよびキューレベルと撞点です。それらがちゃんと再現性良く実現できるのであれば、フォロースルーはどのようなものでも良いのです。なので、自分に合った決め事をしておくのは素晴らしいですが、こうすべきというものはありません。強いて言えば、フォロースルーを長く取りすぎるのはショットタイミングがボケやすいので避けた方が良いでしょう。