ひねりと見越し

ひねりを使って手球の横の撞点を撞くと、手球は真ん中を撞いたときのコースからズレて進行します。このひねりによる手球の進行のズレを予測することを”見越す”、”見越しを取る”などと言います。見越しはひねりを使いこなす上では避けては通れない重要な概念になります。ここでは、ひねりによって生じる見越しについて見ていきます。

目次

前おき

「ひねりを使うなら見越しを取らないといけないよ」
「このキューは見越しが難しいからね」
「ひねりすぎて見越しが取れなかった」

自身のプレーにひねりを取り入れたいと思い始めた中級者プレーヤーがよく耳にするフレーズだと思います。
でもひねりすらよくわからない、使いはじめたばっかり、ひねったイレが安定しない、という状況で謎の単語「見越し」まで出てきてもっとよくわからない。。。ひねりはとにかく難しいんだ。。。となりがちです。
しかも、意外と見越しについて丁寧に教えてくれる上級者プレーヤーは少ないですし、大体「体で覚えろ!」「最初は頭で考えるよりも実際に撞いて感じろ!」「たくさん撞きまくって体得しろ!」みたいな感じが多いです(筆者もそんな感じでした)。
この「体で覚えろ / 考えるな感じろ」みたいなことは半分真実なので、一概に間違いとも言えないのも事実です。というのも、「見越しを取る」というのは「自分のショットのズレを狙いで補正する」ということだからです。つまり、個人差があるので結局はとにかく練習して自分のショットの癖を覚えるしかないというところに行き着くからです。

ただ、とにかく練習するにしても、見越しについての最低限の知識があった方がより早く習得できると思いますし、なにより、「中級者がよくわからないものと孤独に暗中模索でがむしゃらに格闘する」ということがメンタル的にしんどいと思うので、何と戦うのか事前に知っておいた方が楽かなと思います。

また、上級者に質問するようなときにも、知識や自分の問題が整理されていると吸収が速いですからね。

見越しとは何か

見越しとは一言で言うと

的球の狙い補正の量

です。
なるほど、よくわからんって感じでしょう。

中級者ともなれば既に感じているとは思いますが、ビリヤードでは単純にポケット中心と的球を結んだ線の延長上にあるイメージボールに手球を合わせさえすれば必ずポケットするわけではありません。
例えば、手球はど真ん中を撞いたとしても、薄い球をゆっくりイレようとすれば、スロウの影響で厚く外れてしまいます。
こんな場合は的球の狙いを少し薄めに補正して、スロウの影響を受けても的球が入るようにすると思います。

このショットによって的球の狙いを補正する量こそが見越しです。

さて、その上でひねりを使うとどうなるでしょうか。

ひねりを使うと手球の左右の撞点を撞くことになります。これによって、手球は中心を撞いたときの進行方向から僅かにズレて撞き出されます(トビ)。また、手球にかかった横回転により手球の軌跡はカーブを描くことがあります(カーブ)。更に、手球の横回転がスロウの大きさにも影響してきます。つまり、ひねりを使うことによって手球が的球に到達するまでのズレも考慮しなくてはならなくなります。

しかもこれらの影響の大きさは、ひねりの量、ショットの強弱、キューレベル、タッチ、球の配置、球の汚れ具合、ラシャの状態、タップ、シャフトなどなど、挙げきれないほどの様々な要素によって繊細に変化します。

しかし結局は、これらすべてを的球の狙いの補正の量に落とし込むことになります。つまり、どんなに複雑に変化しても「見越し」に落ち着くわけです。どのくらい狙いをズラすのかということに、すべてまとめるということです。

撞点や強弱などのショット条件とキューや球、台などのコンディションによって多様に変化する影響を予測して、的球の狙いの補正量にまとめることで見越しを決めることを「見越しを取る」と言っているわけです。

見越しの取り方

見越しを実際に取るためには、ひねることでどうして手球の進行がズレてしまうのかということを知って、その上で自分のショットではどのくらいズレるのかを把握する必要があります。自分のショットでどのくらいズレてしまうのかを把握できれば、イメージボールや接点などの自分の狙い点をその分だけ補正すればよいことになります。この補正する作業こそ、「見越しを取る」ということそのものになります。

では、ひねりによってどうして手球の進行がズレるのか、また、自分のショットでのそのズレをどうやって把握していくのかを見ていきます。

トビとカーブとスロウ

まずはひねることで手球の進行がズレることについて見ていきます。
大きく3つに分けられます。

  • 撞き出しの際のズレ(トビ)
  • 手球が進行中のズレ(カーブ)
  • 手球と的球との接触時のズレ(スロウ)

トビ

ひねる場合には手球の中心からズレた場所を撞くため、手球には物理的に横方向の力が加わります。これにより、手球は中心撞きの進行方向から撞いた側と逆の方向に僅かにズレて進み始めます。この「横の撞点を撞いた際に出る、手球の中心撞きの進行方向からの僅かなズレ」を”トビ”と言います。また、これにより手球がズレて進み始めることを”トビが出る”、”トぶ” などと言います。

ひねることで左右の撞点を撞くとトビは必ず出ます。ただしトビの量、つまりズレる大きさは、ひねりの量や撞き方、ショットの強弱、シャフトなどによって変化します。

以下、必ずこうなるというわけではありませんが、一般的によく言われるトビの量の大小です。

  • ひねりの量:ひねりが大きいほどトビも大きい
  • 強弱:強いほどトビが大きい
  • タッチ:タッチが長いほどトビが大きい
  • ひねり方:平行移動の方がピボット/軸ずらしよりもトビが大きい
  • シャフト:ノーマルの方がハイテク/カーボンよりもトビが大きい

カーブ

手球をひねると手球には横回転がかかった状態で進むことになります。そのため、この横回転の影響で、手球は真っすぐ進まず、カーブしながら進むことになります。

  • キューを立て気味に撞く(キューレベルが大きい)
  • ゆっくり撞く
  • 上の撞点を撞く

などがカーブが大きくなる要因として挙げられます。

スロウ

的球との接触時に手球の横回転の影響によりスロウに影響がでます(参考:ひねりとスロウ)。

  • 順ひねりのときは的球が薄い側に進む
  • 逆ひねりのときは的球が厚い側に進む

自分のショットでの見越しの把握

ひねることでの手球の進行のズレが判ったら、自分のショットでどのくらいズレるのかを把握しましょう。
まずはトビとカーブを把握し、ひねった際の手球の行く先を把握しましょう。ある程度正確に手球をヒットさせられるようになったら、スロウを織り込みましょう。


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