マイキューを買おう

競技プレイヤーとしてビリヤードに取り組んでみたいと思ったら、まずはマイキューを買ってみましょう。
ビリヤードでは同じことは同じようにできる再現性がとても重要です。そのため、キューもできるだけ同じものを使いたいのです。
球を撞いてみる、という点ではハウスキューを借りて練習することもできますが、いつでも同じキューを使えるとは限りません。つまり毎回違う道具で練習することになるので、基準があいまいになってしまうという大きな欠点があります。

また、マイキューを持つことで道具への愛着がわいたり、モチベーションアップにつながったりと、ビリヤードに向かう気持ちも向上すること間違いなしです。

目次

はじめてのマイキューの選び方

マイキューを買う決心はしたけど、はじめてで選び方がわからないという方が多いと思います。
ここでは、マイキューにはどんな選び方があるのかということを紹介していきたいと思います。

キューを選ぶにあたって、まずは下の3項目の優先度や目安を決めておきましょう。

  • 予算
  • 性能
  • デザイン

必ずしもどれかを取るとどれかが犠牲になるというわけでもないのですが、すべて満足できるキューにはなかなか出会えないものです。
大きく言えば、性能やデザインが良くなると値段が大きく上がります。こう言うと当たり前のようですが、とはいえキューは結構高価なので、予算にこだわりがない方を除けばお財布事情との相談になることが多いです。
それぞれの項目について少し詳しく説明していきます。

予算

キューの値段を大きく分けてみると

  • ~2万円 :入門セット、プリントキュー
  • 2万円~5万円 :プロダクトキュー下位モデル
  • 5万円~10万円 :プロダクトキュー上位モデル
  • 10万円~30万円程度 :プロダクトカスタムキュー
  • 20万円程度~青天井 :カスタムキュー

といった感じになると思います。結構高いですよね。。
プロダクトキューというのは大量生産を目的として、同じデザインや性能を目指して同じ設計でつくられたキューです。たくさんつくっている分、やや安めの傾向にあります。
カスタムキューというのは基本的には1点もので、高級な材料を用いてつくられた高級キューです。昔は買い手が材料や寸法、デザインなどをすべて指定して発注する完全オーダーメイドのみでしたが、昨今では売り手がつくったものを買い手が選ぶというものも多いです。値段は当然高いです。
プロダクトカスタムキューというのは、プロダクトキューメーカーが手掛けているカスタムキューです。つまり正確にはカスタムキューに分類されるキューです。基本的にはカスタムキューと同じなのですが、完全1点ものではなく、完全に同じデザインのものが複数つくられているキューです。日本でポピュラーなものでは、MUSASHIやEXCEEDなどが挙げられます。

なんとなくの予算を決めて、性能やデザインを考慮した上で調節するといいと思います。

性能

正直に言えば、はじめて買うキューに関しては性能はそこまで気にしなくてもいいとは思っています。もちろん性能が良いに越したことはないのですが、まずは腕を磨くことの方が優先度が高いからです。
とは言え、大枚をはたいて買うものなわけですから、気になるとは思いますので説明したいと思います。

そもそも一言でキューの性能と言っても、明確にこのキューは性能が高い/低いと言えるものではないのです。
道具のページで説明しましたがキューは手球に近い順にタップ、シャフト、バットで構成されています。
これらの要素がそれぞれ影響しあいながら、ショットが手球に与える推進力やその方向、回転量などが変化し、また、使用者に返ってくる打感や打音なども変化します。これらを総合して「キューの性能」と呼んでいるのです。
なのでキューの性能は高い/低いというよりかは、特性や性質に近いものなのです。このキューは使うとこういう感じになるといった感覚に近いです。またキューの性能にはいろいろな考え方があって、どれが正解というものはないと思っています。それぞれのプレイヤーの感覚的なものを、なるべく言語化して共有するための手段として、キューの性能というものがあるのだという程度で考えてくれるといいかなと思います。

キューの性能の考え方についてお話ししたところで、性能にはどんなものがあるのかをお話ししていきます。ちょっと長くなりますので、気にならない方は太字まで飛ばしてもらって大丈夫です。
先ほども触れたように、キューの性能にはいろいろな考え方があり、細かく挙げればキリがないので、ここではよく言われる代表的な項目をいくつか絞って紹介します。

  • パワー
  • トビ/見越し
  • キレ
  • 打感/撞き心地
  • 振りやすさ/しっくり感

パワー

まずは、パワーです。多くの場合、ショットの際のキューの手球への推進力の与えやすさのことをいいます。楽に手球に推進力を与えられるキューのことをパワーがあるといい、性能も高いとされます。

トビ/見越し

次は、トビ/見越しです。左右の撞点を撞いたときに手球が撞点と反対側に僅かにズレて進むことを”トビ(ディフレクション)”といいます。そしてそのトビの量を予測して、的球への狙い点を補正することを”見越し”といいます。トビが少ないほど狙いやすく、シュートの成功率が上がりやすいので、トビが少ないほど性能が高いとされます。

キレ

次は、キレです。多くの場合、ショットの際のキューが手球への回転量の与えやすさのことをいいます。パワーと似ていますが、キレといったときには力よりも回転量に注目するイメージです。プレイヤーの技量によってキュー切れは変化しますが、キュー側にも性能として求められることが多いです。楽に高い回転量が出せるほど、キレがよく、性能が高いとされます。

打感/撞き心地

次は、打感/撞き心地です。手球を撞いたときにプレイヤーの手もとに伝わる感覚のことをいいます。振動の多い少ない、硬い柔らかいなどの感覚的な表現になることが多いです。また撞いたときの音なども需要視されます。性能の高低という表現とは違うような気もしますが、打感や撞き心地の良いキューほど性能が高いと言えます。

振りやすさ/しっくり感

最後に、振りやすさ/しっくり感です。性能というよりはフィーリングといったところなのですが、人によってはキュー選びにおいてかなり上位の関心項目としている性能です。キューの重さやそのバランス(重心)、太さ、テーパー、滑り感、グリップの種類、色など様々な項目が影響していますが、キューを振ったときに自分にしっくりくる、振りやすい、プレーしやすいと感じるかどうかです。もはやこれも性能の高低ではないで様な気もしますが、振りやすいキューほど性能が高いと言えます。

なるほどよくわからんって感じですよね。。でも最初はそれでいいと思います。やはり感覚的なものなので、頭でわかるというよりかは体で実感することが重要だからです。ビリヤードを続けているうちに少しずつ、ああこういう感じかなといった感じでじわじわと感じていければいいと思います。

キューの各部と性能

タップ、シャフト、バットと性能の関係についてそれぞれ少し説明します。

  • タップ
  • シャフト
  • バット

タップ

タップは主に打感と回転量に影響します。タップには大きく分けて単層タップと積層タップがあります。単層タップは1枚革を締めてつくられたもので、一般に個体差があり、撞いていくと撞き固まり硬くなっていき硬さが変化します。積層タップは薄い革を何層にも重ねたもので、個体差が少なく、硬度も安定しています。値段は単層<<積層です。また、タップにはSoft、Hardなどの硬さのラインナップがあり打感が変化するとともに、硬いタップは球離れがよくドロー向き、柔らかいタップは喰いつきがよくフォロー向きなどと言われます。タップのグリップ力によってキレに影響が出ます。

シャフト

シャフトはほとんどすべての性能に大きく影響しますが、特にパワーとトビに強く影響します。シャフトには大きく分けてノーマルシャフト、ハイテクシャフト、カーボンシャフトの3種類があります。ノーマルシャフトは1本木を削りだしてつくられたもので、一般的に個体差が大きく、トビが大きい傾向にあります。ハイテクシャフトは分割された木のパーツを組み合わせてつくられたもので、一般的に個体差が少なく、トビが少ない傾向にあります。カーボンシャフトはカーボンでつくられたもので、個体差はほぼなく、トビも少なく、さらに大きなパワーが見込めます。値段はノーマル<ハイテク<<カーボンです。

バット

バットは主に打感としっくり感に影響します。バットの硬さによってパワーや打感、打音が変わります。バットが重いとバランスが後ろ寄りになり、軽めだと真ん中寄りになります。またグリップもリネン巻き(麻糸巻き)、革巻き、ノーラップ、スポーツグリップ(ゴムグリップ)など多岐にわたり、プレイヤーの好みによりしっくり感に直結します。

おすすめ

現在ではタップやシャフトはかなり自由に後から変更できるので、キューの購入に一番強く結びついているのはバットです。しかし、手球の挙動への直接の影響という意味では、バットの性能はそこまで大きくは影響しません。打感や打音、グリップ、重さなどの影響が最も大きいです。つまり、ショットに対するプレイヤーへのフィードバックの部分への影響が大きいです。しかもこれはタップやシャフトによっても大きく変化します。
要するに、どのバットであってもプレイヤーの慣れと好みの部分が大きいのです。

ただ、タップやシャフトがいくら変えられるといっても、それもそれなりにお金がかかりますし、まずは買ったキューでそのまま練習しますよね。
私個人としてはハイテクシャフトが標準で装備されているキューをおすすめします(タップは何でもいいかなと思っています)。
初級者にとってトビは大きな障害となります。そのため、トビが少ないハイテクシャフトではじめからビリヤードを覚えるのが良いと私は思います

こう言うと、「いやいや最初はノーマルからはじめてビリヤードをある程度覚えてからハイテクに変えるべきだ」という方が必ずいます。もちろんノーマルシャフトもいいところがありますし、いろいろな経験をするのも良いことだと思うので、一概に間違いとは言いません。ですが、昨今ではハイテクシャフトが主流ですので、そんな中でわざわざノーマル→ハイテクの道をたどることもないと思っています。私はノーマルシャフトのキューでビリヤードをはじめて、B級の中間くらいのときにハイテクシャフトのキューに買い替えたのですが、ハイテクシャフトに変えたばかりのときには見越しを修正したり、撞き方を変えたりととてもとてもとても苦労しました。ですから、よほどのこだわりがない限りは、ハイテクシャフトからはじめてしまうのがいいんじゃないかなと思います。

デザイン

はっきり言ってデザインに関しては完全に個人の好みです。
自分がキューのデザインにどこまで比重を置くかによって大きく変わってくると思います。
私個人の意見としては、デザインはかなり重要だと思っています。気に入ったデザインの方が愛着もわきますし大事にすると思うので、できる限り納得のいくようなデザイン選びをした方がいいかなと思います。
いくつか検索のヒントになるキーワードを挙げておきますので、参考にしてみてください。

  • ハギ
  • インレイ
  • 4剣、5剣
  • 杢目
  • トラ目
  • 鳥眼杢、バーズアイ
  • 銘木
  • リング
  • バタフライ
  • スパイダー
  • ウェッジ
  • スワール

おすすめのマイキューの選び方

以上をふまえて、おすすめのはじめてのマイキューの選び方を紹介したいと思います。
いろいろなケースを想定してみたので、参考にしてみてください。
いずれにしてもとにかくどれか買ってみてくださいね。
大人の事情で具体的なメーカーや品物は提示できませんので、あしからず。

  • おすすめから聞きたい
  • とにかく金欠
  • とりあえず予算5万円
  • 一生ものが欲しい
  • 値段はいいから最先端

おすすめから聞きたい

おすすめから聞いてみて、そこから考えてみたいという方はこちら。
私のおすすめとしては少し背伸びして、7万円~10万円くらいのミドルクラスのプロダクトキューを買うのがいいと思っています。ここで、ハイテクシャフト標準装備であることが大事です。しっかり確認しましょう。
この値段帯だとある程度キューの性能はしっかりしています。なので、デザインが気に入ったものを買うといいと思います。愛着を持ってキューと触れ合ってほしいからです。
「他のキューに買い替えたいな」と思う頃にはしっかりと腕が上達しているというような、じっくり使えるキューが買えると思います。

とにかく金欠

とにかく金欠だけど、マイキューは欲しいという方はこちら。
まずは、知り合いをから使わなくなったキューを格安で譲ってもらうというものです。大学生の方や、社会人サークルなどに所属できる方には結構現実的だと思います。
新品を買うとなると、入門セットや~2万円程度のプリントキューやストレートキュー(装飾のないキュー)が廉価なところです。私個人としては、キューショップの実店舗に足を運んで、店員さんに安くて性能のしっかりしたキューが欲しいと言って見繕ってもらうのが確実だと思っています。それが難しい方は、大手のキューメーカーから出ているプロダクトキューで、廉価ラインナップが充実しているものを選ぶのがいいと思います。シリーズ化されているものは品質が安定していることが多いからです。

とりあえず予算5万円

とりあえず予算5万円という方はこちら。
予算が5万円あると、意外と多くの選択肢があります。デザインを選ばなければ、ハイテクシャフトが標準でついているものも入ってくると思います。私のおすすめとしては、ハイテクシャフトが標準でついているものを探して、その中からデザインの気に入ったものを選ぶといいかなと思います。ちょっと気に入らないということもあるかもしれませんが、腕が上がったら買い替えるというくらいの気持ちで、まずはシャフト重視で選ぶ方がいいかなと思います。

一生ものが欲しい

一生ものがほしいという方はこちら。
プロダクトカスタムキューをおすすめします。値段はほとんどデザインに依存していて、ストレートで10万円台中ごろから、デザイン次第で40万円くらいまでのものが多いです。キューの性能はあまり変わりません。性能に関してはプロでも使用できるレベルの高品質です。また、シャフトもほとんどの場合トップレベルのハイテクシャフトが標準でついています。
自分自身に好みが出てきて、自らが選択して買い替えない限りは、腕が上がっていってもずっと使っていけるキューになると思います。

値段はいいから最先端

値段はいいから最先端という方はこちら。
ビリヤードはプロ競技があるスポーツです。ですから、厳しい勝負に身を置く世界のプロ達に認められているキューは素晴らしい性能やデザインを誇っています。その分、値段も相応に高くなっていることが多いですが、お金さえ出せば、同じ仕様のものが売っていることがあります。
お金に十分な余裕があって、はじめから最先端最高峰の道具を使いたいという方は、プロ達がどんな道具を使っているのか調査してみるといいと思います。性能はすべて高く、その上で各プロがそれぞれの哲学を持って調整しているものなので、はじめたての腕では性能の差異に気づけず、どれを使ってもほとんど変わらないと思います。自分が欲しいと思ったものでいいと思います。
カーボンシャフト装備のものや本当に美しいデザインのものなど、歴の長い人でも喉から手が出るほど欲しがっているものばかりです。初級者が使ってもポテンシャルが引き出せないだけで、悪い作用はほとんどないと思います。そういうところからはじめてみるのもいいのかもしれません。


はじめてのマイキュー購入の参考になれたでしょうか。
これから競技プレイヤーとしてビリヤードを練習したいなら、やはりマイキューを買うところからはじめることを再度おすすめしたいと思います。愛着を持った自分の道具で、同じことを同じようにできるようにする。同じことの中で、道具を知り、球を知り、自分の腕を知りながら、ひとつひとつの技術を少しずつ少しずつ高めていく。こんな地道な努力がビリヤードの重要な部分だからです。その中で使う道具が同じであること、その道具を知り尽くすために愛着を持って接することはとても大事です。相棒と言えるようなマイキューにあなたも出会えますように。


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