押し引きのライン

押し引きの回転がかかった手球のラインを知ることで押し引きのダシの予測が立てられるようになります。
ここでは押し引きのダシのための手球の押し引きのラインを考えていきます。

押し球のライン

まずは押し球のラインについて見ていきましょう。
90°分離の法則のページでおおまかなラインの考え方については説明しましたが、ここではより詳しく見ていきます。

押し球のラインには大きく分けて2つの要素があります。

  1. 90°分離ラインに沿って動くライン
  2. 押しカーブのライン

撞き方や強弱、手球の回転量によってこの2つのラインの割合や形が様々に変化しますが、どれも基本的に1→2の順に変化し、構成されます。

90°分離ラインに沿って動くライン

手球に押しの回転をかけてショットをしても、的球にヒットした直後は必ず90°分離ラインに沿って手球は動こうとします。その後、手球にかかっている押しの回転の影響が手球に充分に伝わってくると、手球は90°分離ラインから外れて押しカーブのラインに乗って動き始めます。このように、手球に押しの回転の影響が充分に伝わるまでは、手球は90°分離ラインに沿って動くことになります。つまり、手球に押しの回転の影響が充分に伝わるまでに時間が長くかかればかかるほど、手球が90°分離ラインに沿って動く距離も長くなるということになります。

一般的に押し球のときに手球が90°分離ラインに沿って動く距離が大きくなる要因としては主に下に挙げるものがあります。

  • 手球が微小にジャンプするようなショット
  • ラシャのコンディションが軽い
  • フリが30°~45°付近のとき

手球が微小にジャンプするようなショットをすると、手球がジャンプ中はいくら手球に回転がかかっていても空転状態になるので、手球にかかった押しの回転の影響が十分に発揮されるまでの時間が長くなってしまいます。そのため、手球が着地して安定した状態になるまでは、手球は90°分離ラインに沿って動くことになります。
特に、強い力加減で行うショットや、撞点が低めの押し球、キューレベルが大きめについてしまっている撞き方などをする際には、この微小なジャンプによる手球が90°分離ラインに沿って動く距離の増加に注意が必要です。

また、ラシャのコンディションが軽く、手球のがラシャに喰いつきにくく空転しやすい場合にも手球が90°分離ラインに沿って動く距離が大きくなる要因になります。サララシャ(ラシャを張り替えたばかりで新しい状態)のときや、湿度が低くラシャが乾燥しているときなどには手球が90°分離ラインに沿って動く距離が大きくなりやすいです

30°~45°付近のフリになってしまっている場合、手球が的球にヒットしたときに手球が90°分離ライン方向に動かされる力が大きくなります。そのため、手球のアクションに与える押しの回転の影響が相対的に小さくなり、手球が90°分離ラインに沿って動く距離が大きくなりやすいです。

ちなみに、手球が90°分離ラインに沿って動く距離が大きくなるような手球のアクションのことを、”割れる”などと表現します。そして、意図的に割れるような球を撞くことを、”弾く”、”フォース”などと表現します。また、手球が割れたり、押しが十分にかからなかったりして、手球の押しのライン全体がゆるやかになってしまうことを、”膨らむ”などと表現します。

割れないような押し球を撞く工夫としては、

  • 力加減を弱くする
  • 撞点などを工夫して押しの回転数を大きく取る
  • キューレベルに気を付けて手球を跳ねさせない

などが挙げられます。

押しカーブのライン

押しの回転の影響が手球に充分に伝わると、手球は90°分離ラインから外れて、カーブしながら移動します。その後、手球に与えられる力の影響のバランスが安定すると、手球は直線的に転がっていきます。そのため、押しカーブのラインも細かく見ると、カーブ→直線という構成になっています。

一般的に手球にかかっている押しの回転数が大きければ大きいほど、カーブは急激になり、描く弧は鋭いものになります。ここで注意したいのは、支配的なのは回転数であって、ショットの強さではないということです。つまり、鋭いカーブを描くためには単純に強く撞けばよいというわけではないよということです。
確かに大きな回転数を得るためにはある程度の強さで撞く必要はあるのですが、ショットが強くなるほど手球の微小なジャンプに繋がりやすくなるので、割れやすくなるとも言えるわけです。同じ回転数を得られるのであれば、ショットスピードを抑えた方が押しカーブのラインは鋭くなりやすいとも言えます。撞点と撞き方が重要です。

逆に、弱くショットした場合には手球の挙動がすぐに安定するので、手球はすぐに直線的な動きに変わります。そのため、カーブを描くような挙動もほとんどなくなり、的球にヒットした後は直線的に前進するような挙動に近くなります。このようなショットを意図的に行うことを”転がす”などと表現します。

いくつか押し球のラインの例を図で見てみましょう。

引き球のライン

引き球のラインに関しても、手球の回転が逆になるだけで、ほとんどの部分が押し球のときと同じです。
割れるかどうかについてやカーブの挙動についても気を付ける点はほとんど同じです。

ただし、引き球が押し球と大きく異なる点があります。
それは、引き球は的球とのヒット時に引き回転が残っていないといけないという性質上、弱いショットの制約が押し球よりも多いです。
押し球で広く使えた転がすような球は引き球では的球と近い場合を除いてほとんど使えません。
そのため、押し球と比較して引き球の方が、配置に応じた撞点と力加減のコントロールがより繊細に求められると言えます。
引き球の方が手球に残っている回転量の意識をより高めるべきだと言えると思います。

以上のことを踏まえて、引き球の場合の例もいくつか図で見てみましょう。