ダシを考えはじめる

イレがある程度まで実践できるようになってきたら、ダシを考えてプレイしてみましょう。
うまくダせるようになれば、結果的に次のイレもより易しくなり、シュート率の向上も見込めます。
ただし、ダシの世界は非常に奥深く、底なしの深淵が広がっています。
そもそもイレと同じく、どうダしていくのかというポジションプレイを考えること自体が、もはやビリヤードそのものであると言っても過言ではないでしょう。
その深淵を探検していくためにも、まずはダシを考えはじめてみる、ダシの世界に踏み出してみる、ということが大切です。
ここではダシの基本的な考え方から実際のプレイでの簡単な例を交えて、ダシの世界の第一歩を考えていきます。

ダシとはなにか

そもそもダシとはどのようなものなのでしょうか。
ビリヤードではシュート後の手球の挙動をコントロールして、次以降のプレイの難易度を下げるようにポジションすることをダシと言います
例えば、下のような配置を考えます。

ダシの説明_配置例

ここで、ダシを何も考えずにストップショットで1ボールをポケットすると下のような配置になります。

ダシの説明_難しく残る例

2ボールに対して非常に薄い厚みになってしまいました。難しい配置になってしまったわけです。
できれば、2ボールに対してもう少し厚い配置にしたいところです。
そこで、上の撞点を撞くことで軽い押し球を用いて1ボールをポケットした場合を考えると下の図のようになります。

ダシの説明_押し球でダした例

こうすると、2ボールに対して厚く手球を配置できます。
今回の場合は1ボールのシュートの段階で、2ボールのシュートの際の手球の配置のことを考えて、1ボールを軽い押し球でシュートするという選択をしたわけです。
もちろん状況によって何を最大の目的として手球のコントロールをするかは変わってきます。次の的球のシュートなのか、次の的球からさらに次の的球へのダシを簡単にするためなのか、トラブルを解消するためなのか、状況によって様々です。
共通して言えることは、目の前の的球のシュートの後の手球の挙動をコントロールして、狙った配置を実現しようとすることです。
これがダシを考えるということになります。

手球の挙動を予測する

ダシのためにはシュート後の手球の挙動をコントロールする必要があることを説明しましたが、そのためには手球にどのようなことをするとどのような挙動になるのかを知る必要があります。つまり、手球の挙動の予測ができることが必要です。
シュートにおいて手球の挙動を制御することのできる要素は大きく分けて

  • 撞点
  • 強弱
  • 撞き方

の3つです。

撞点による手球の挙動の変化

シュートする際に手球のどこを撞くかによって手球に与えられる回転が変化し、それによって手球の挙動も大きく変化します。
撞点には上下の撞点と左右の撞点があり、上下の撞点は押し引きの撞点、左右の撞点はひねりの撞点です。
ひねりについては中級者の藪以降で扱うので、ここでは触れません。

上の撞点では上回転(押し回転)、下の撞点では下回転(引き回転)を手球に与えることができます。真ん中は無回転になります。
手球が的球にヒットしたときに手球に残っている回転によってその後の手球の挙動が変化します。

  • 上回転なら押し球
  • 下回転なら引き球
  • 無回転ならストップ

それぞれ図で見ていきます。



ここで大事なことは 手球の挙動に影響を与えるのは手球の撞いた瞬間の手球の回転ではなく、 ”ヒット時に手球に残っている回転”という部分です。
手球はラシャの上を転がっていく間に摩擦によって徐々に上回転がかかっていきます。
つまり、例えば下の撞点を撞いて引きの回転をかけたとしても、的球との距離がある場合などではこの摩擦によって的球とのヒット時に手球の回転がなくなり、引き球にならない場合があるということです。

強弱による手球の挙動の変化

これは簡単にイメージできると思うのですが、同じ撞点を撞いたとしてもその時のショットの強弱によって回転数が変化し、手球の挙動は変化します。
例えば、ある上の撞点を撞いたとして、その撞点を強く撞いたときと弱く撞いたときでは、的球にヒットした後の手球の推進力は強く撞いた場合の方が大きくなり、より長い距離を進むことになります。

撞き方による手球の挙動の変化

ショットの際のキューイングの変化によっても手球の挙動に影響があります。
例えば、ショット時のキューレベルは影響度が高い要素の1つです。キューを水平にしてショットした時と、キューを立て気味にしてショットしたときとでは、同じ撞点を同じ強さで撞いたとしても大きく手球の挙動は変わります。
下の例ではある上の撞点を同じ強さで強めに撞いたときに、水平に撞点を捉えた場合とキューを立て気味にした場合で考えています。
キューを立て気味にした場合だと手球が微小にジャンプしてしまう上、上回転が狙い通りにかからずやや不安定な状態になります。
(図は少し大袈裟にしてます。)

ダシを考えはじめる_撞き方